映画「ミックス。」を観て、人生と現実に立ち向かうためには、必死コイて足掻くことが必要だという事が分かった

 先日、映画「ミックス。」を観に行った。「ミックス。」とは、これである。

mix-movie.jp

 映画の概要は、「不器用でどこか欠点だらけの登場人物たちが、卓球の男女混合(ミックス)ダブルスを通じて小さな"奇跡"を起こす、恋と人生の再生物語」とのこと。この映画に出てくる登場人物は、いわゆる典型的な人生負け組の人たちなのだ。恋に敗れ、仕事に敗れ、夢に敗れ、人生に敗れ。

 僕も典型的な負け組人生を歩む一人だ。仕事が忙しすぎて、恋人と会う時間も無く、最終的にフラれ、家にも帰らず働いてたら身体を壊し、休職。休職開けたら目標としていたポジションへ昇進もできず(休職した人間はそのポジションに付くことができない)、私生活でも不幸なことが重なり、最終的にうつ病になった(本当の話)。自分でも振り返ってみると、笑えない典型的な負け組人生を歩んでいるのである(笑)。

 何も頑張ってこなかった訳ではない。何もしてこなかった訳でもない。しかし、僕のやってきたことは実を結ぶことはなく、結果として、大切なものを失い、なくした。少しづつ、人間味を持たない人生と現実が怖くなっていった。

 負け組人生を歩んでしまったのは自分が悪いと言う自覚もある。負け組人生を選びたかった訳ではないが違う人生を選ぶことは出来たのだ。忙しくても恋人と会う時間は確保するくらいは出来ただろう。仕事がいくら大変でも家くらいは帰らせてくれ、休みの日は休ませろと会社と戦うこともできたはずだ。何より体壊すくらい働いて倒れて、復帰しても目標としていたポジションに付くことができないなら会社を辞めても良かったはずだ。

 自分が悪く、弱かったのだ。そう思う。ただ今更、人生と現実に立ち向かう勇気も気力もなく、ただただ怖くて、どうしたら良いのかも分からなくなっていた。

 そんな時、「ミックス。」を観た。スクリーンには僕と同じ負け組の人たちが居た。直感的にこの人たちが勝つことはないと分かった。どうやったって勝てない。今更遅い。なのに足掻くことをやめないのだ。

 最初は、彼らは勝てないくせに何故足掻くのか分からなかった。負け組人生なのに何故そこまで足掻くのか。観れば観るほど胸が痛くなった。完全に自己投影していた。映画を観続けるうちに、何故彼らが足掻くのか、気づいた。

 彼らは勝つために足掻いているのではない。自分の人生に、現実に立ち向かうために、足掻いているのだと。人間味を持たない恐ろしく無慈悲な人生と現実に立ち向かうには、必死コイて足掻くしかないのだ、それ以外にないと言うことを彼らを観て、僕は確信した。

 僕も足掻いてみようと、そう思った。